結婚式に出席する場合、招待する側と招待される側に分けられます。ここでは新郎新婦の父親として招待客を迎える立場になった男性の服装についてお話していきます。
結婚式の礼服にはルールがあることを押さえておきましょう。
- ゲストよりフォーマルな服装が基本。
- 礼服には「格」があり両家の両親は「格」を揃える必要がある。
- 立場や時間帯によって着用する礼服は変わる。
クローゼットにある黒の礼服を着ればいい、なんて思っているとマナー違反になるかもしれません。いざという時に困らないよう心の準備だけでもしておいてはどうでしょう。備えあれば憂いなし、です。
結婚式のフォーマルは大きく3種類に分けられます。
| 正礼装 | 準礼装 | 略礼装 |
|
モーニングコート（昼） |
ディレクターズスーツ（昼） | ブラックスーツ（昼夜） |
| 燕尾服（夜） | タキシード（夜） | ダークスーツ（昼夜） |
※燕尾服の代わりにタキシードを夜の正礼装として着用する傾向にあります。
礼服マナーを守ってどの礼装にするかを選ぶようにしましょう。
そして、もう一点考えたいことがあります。
購入 or レンタル ?
格上の礼装になるほど着用の場面が限られてきます。モーニングコートは父親が結婚式に着る以外にいつ着るでしょう？ それならレンタルで十分と考える人も多いようです。
購入orレンタルという選択肢も交えながら、「父親」にふさわしい服装について順番にお話ししていきます。
父親の定番といえばモーニングコート
モーニングコートに必要なアイテム
| 時間帯 | 昼の正礼装（午後6時まで、冬場は午後5時まで） |
| 着る人 | 新郎新婦の父親、新郎、媒酌人 |
| 上着 | ウエストから後ろ丈へかけて大きく斜めにカットされたピークドラベルの一つボタンジャケット |
| パンツ | コールパンツ（グレーに黒の縦模様が入ったストライプパンツ） |
| ベスト | 白衿付きの黒かグレーのベスト |
| ネクタイ | 白地やシルバーに黒やグレーの縞が入ったレジメンタルタイ |
| シャツ | ウイングカラーまたはレギュラーカラーのダブルカフスシャツ |
| 靴 | 内羽根式のストレートチップ。プレーントゥでも可 |
| ポケットチーフ | リネンかシルクの白無地をスリーピークスで |
| 手袋 | 右手にもってはめることはない。着席時は内ポケットへ |
| カフリンクス | ゴールドやシルバー台に真珠や白蝶貝など白系の石 |
| サスペンダー | 黒または白黒の縞柄 |
| 靴下 | 黒地に白線のストライプ（モーニング用）もしくは黒地。ミドル丈かロング丈の透けないもの |
モーニングコートで思い出すのは、結婚式の新郎と父親、叙勲や褒章で参内する人たち、内閣発足での記念撮影での政治家。そんなところでしょうか。
つまり着る機会はほとんどない、ということです。
購入しますか？ レンタルしますか？
参考資料を載せますので判断材料にお使いください。（値段は変更する場合があります）
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＜モーニングコート 購入＞
モーニングコート（上下）、ベスト3点セット。65,890円
ウイングカラー・ダブルカフスシャツ。6,600円
小物6点セット（ネクタイ、手袋、ポケットチーフ、カフリンクス、靴下、アームバンド）７,370円
リーガル 23,900円
もちろん上を見ればキリがありませんし、もっと安価なもので揃えることもできますが、ここでは安価なものより少し上のランクで選びました。
一通り揃えて約10万円です。
＜モーニングコート レンタル＞
10点セット 9,900円
モーニングコート（上下）、ベスト、シャツ、ネクタイ、ポケットチーフ、カフリンクス、アームバンド、サスペンダー、手袋
別途 ストレートチップ 3,850円
安心サポート（修理補償）1,100円
（事前試着 4,950円）
値段もセット内容もまちまちですがここではレヴュー件数の多いものを選んでみました。4泊5日のレンタル。靴下を1,000円で買って、補償をつけてもフルセット1万５千円です。レンタルも視野に入れたくなりますよね。
個人的にはレンタルで十分だと思います。
燕尾服は少数派
燕尾服にに必要なアイテム
| 時間帯 | 夜の正礼装（午後6時から、冬場は午後5時から） |
| 着る人 | 新郎新婦の父親、新郎、媒酌人 |
| 上着 | ピークドラベルのテイルコート |
| パンツ | 脇に2本のブレードが付いたもの |
| ベスト | 襟付きの白のベスト |
| ネクタイ | 白無地の蝶ネクタイ |
| シャツ | ウイングカラーのダブルカフスシャツ |
| 靴 | エナメルのオペラパンプスかエナメルのストレートチップ |
| ポケットチーフ | リネンやシルクの白無地をスリーピークスで |
| 手袋 | 右手にもってはめることはない。着席時は内ポケットへ |
| カフリンクス | ゴールドやシルバー台に真珠や白蝶貝など白系の石 |
| サスペンダー | 白のサスペンダー |
| 靴下 | 黒地のミドル丈かロング丈の透けないもの |
燕尾服は裾が燕の尾のようになったジャケットが特徴的な夜の正礼装ですが、現在では結婚式で着る人はほとんどいないようで、代わりにタキシードを着る傾向にあるようです。結婚式というよりオーケストラの指揮者を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
燕尾服を選びますか？
購入しますか？ レンタルしますか？
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参考資料（値段は変更する場合があります）
＜燕尾服 購入＞
燕尾服（上下）、ベスト、ネクタイ、ハンカチ 5点セット。45,500円
小物6点セット（ウイングカラー・ダブルカフスシャツ、カフリンクス、サスペンダー、アームバンド、ポケットチーフ、靴下） 12,960円
手袋 1,450円
オペラパンプス 31,900円
セット販売を中心にお手頃価格の商品でまとめました。トータルで約9万円
＜燕尾服 レンタル＞
10点セット 13,090円
燕尾服（上下）、ベスト、シャツ、ネクタイ、ポケットチーフ、カフリンクス、アームバンド、サスペンダー、手袋
別途 ストレートチップ 2,500円
安心パック（保険）1,000円
お手頃価格のセット商品を4泊5日のレンタル。靴下を1,000円で買って、補償をつけてもフルセット1万8千円です。
レンタルする場合は個々で借りるよりのセットで借りた方が返却も含めて便利です。保険はつけておくと心配がないでしょう。
この先着る予定がなければ、燕尾服はレンタルがいいと思います。
豆知識
勲章をもらう場合、服装規定があります。旭日大綬章などの一等勲章を天皇陛下から宮中で直接親授される場合は燕尾服を着用します。文化勲章などの二等勲章の場合はモーニングコート着用です。燕尾服がもっとも格式の高い礼服なんですね。
夜の正礼装ならタキシード
タキシードに必要なアイテム
| 時間帯 | 夜の準礼装（午後6時から、冬場は午後5時から） 燕尾服に代わり夜の正礼服になりつつあります |
| 着る人 | 新郎新婦の父親、新郎、媒酌人、主賓、上司 |
| 上着 | ヘチマ型の衿のショールカラー、もしくは衿先の尖ったピークドラベル |
| パンツ |
上着と共生地で側章入り |
| ベスト | 黒のベスト、もしくは黒のカマーバンド |
| ネクタイ | 黒無地の蝶ネクタイ |
| シャツ | ウイングカラーのダブルカフスシャツ |
| 靴 | エナメルのオペラパンプスかエナメルのストレートチップ |
| ポケットチーフ | リネンやシルクの白無地 |
| 手袋 | 右手にもってはめることはない。着席時は内ポケットへ |
| カフリンクス | シルバーやゴールド台に黒蝶貝やオニキスなど黒系の石 |
| サスペンダー | 黒のサスペンダー |
| 靴下 | 黒地のミドル丈かロング丈の透けないもの |
タキシードといえばレッドカーペットを歩くムービースターを思い浮かべるのは私だけでしょうか？ モーニングコートや燕尾服は仰々しい感じもしますが、タキシードはシャレていて一度は着てみたいと思います。
あなたは購入orレンタル？
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参考資料（値段は変更する場合があります）
＜タキシード 購入＞
タキシード（上下） 58,300円
7点セット 13,570円
ウイングカラーシャツ、カバーバンド（黒）、蝶ネクタイ（黒）、カフリンクス、サスペンダー、アームバンド、ポケットチーフ
エナメルシューズ 31,900円
値段はピンキリです。上を見れば何十万もするものもありますが、ここではセット商品を選んでお手頃価格にまとめました。靴下（約1,000円）を別途用意してください。
一通り揃えて約10万円です。
＜タキシード レンタル＞
10点セット 14,850円
ジャケット、パンツ、蝶ネクタイ、カマーバンド、ウイングカラーシャツ、前ボタン、サスペンダー、アームバンド、カフリンクス、手袋
別途 エナメル ドレスシューズ 3,850円
安心サポート（保険）1,100円
4泊5日のレンタル。靴下を1,000円で買って、保険をつけてもフルセット約2万円です。
招待状に「ブラックタイ」と指定があったらタキシード着用です。パーディーに参加されることが多いひとは一着もっていてもよいでしょうが、私には無縁です。（笑）
生活スタイルに合わせて購入もあり、基本はレンタルでしょうか。
昼の準礼装 ディレクターズスーツ
ディレクターズスーツに必要なアイテム
| 時間帯 | 昼の準礼装（午後6時まで、冬場は午後5時まで） |
| 着る人 | 新郎、媒酌人、主賓、上司、新郎新婦の父親（両家相談の上で着用も可） |
| 上着 | ブラックスーツの上着（ピークドラベル、ノッチドラベル共に可） |
| パンツ |
グレーに黒の縦じまの入ったコールパンツ |
| ベスト | グレーやシルバーのベスト（上着がダブルの場合は必要ない） |
| ネクタイ | 白地やシルバーに黒やグレーの縞が入ったレジメンタルタイ |
| シャツ | レギュラーカラーかワイドカラーのダブルカフスシャツ |
| 靴 | 黒のストレートチップ。プレーントゥでも可 |
| ポケットチーフ | リネンやシルクの白無地 |
| 手袋 | 右手にもってはめることはない。着席時は内ポケットへ。 |
| カフリンクス | ゴールドやシルバー台に真珠や白蝶貝など白系の石 |
| サスペンダー | 黒または白黒の縦縞 |
| 靴下 | 黒地に白線のストライプ、もしくは黒地。ミドル丈かロング丈の透けないもの |
ディレクターズスーツはちょうどブラックスーツの上着、モーニングコートのコールパンツを組み合わせたスタイルといえます。ブラックスーツを持っていれば追加でコールパンツとグレーのベストを購入すれば済む人も多いと思います。新郎の上司が着るイメージがありますが、両家の相談の上であれば父親が着ることもできます。
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参考資料（値段は変更する場合があります）
＜ディレクターズスーツ 購入＞
4点セット 42,900円 （ブラックスーツ上下、コールパンツ、ベスト）
8点セット 9,460円（ウイングカラーシャツ、ネクタイ、カフリンクス、サスペンダー、アームバンド、ポケットチーフ、手袋、靴下）
ストレートチップ 21,000円
礼服をもっていればフルセットで購入する必要はありませんが、参考までにお手頃のセット商品を中心にフルセット選びました。
一通り揃えて約7万円です。
＜ディレクターズスーツ レンタル＞
9点セット 14,850円
ディレクターズスーツ（上下）、ベスト、ネクタイ、ウイングカラーシャツ、、サスペンダー、アームバンド、カフリンクス、手袋
別途 ストレートチップ 3,850円
安心サポート（保険）1,100円
4泊5日のレンタル。靴下を1,000円で買って、保険をつけてもフルセット約2万円です。
新郎新婦の父親がディレクターズスーツを着るケースは少なそうですが、全部をそろえなくても大丈夫な人が多いのではないでしょうか？ 私でいえばコールパンツがあれば全て揃います。
不足している分だけ購入するのはいかがでしょう？
カジュアルウェディングならブラックスーツもあり
ブラックスーツに必要なアイテム
| 時間帯 | 昼夜の略礼服 |
| 着る人 | 親族、知人、新郎新婦の父親（両家相談の上で着用も可） |
| 上着 | シングル、ダブルどちらでも |
| パンツ |
裾はシングル |
| ベスト | 上着がシングルの場合はベスト着用が良い |
| ネクタイ | 白地やシルバーに黒やグレーの縞が入ったレジメンタルタイ |
| シャツ | レギュラーカラー、ワイドカラー。カフスシャツだとよりフォーマル |
| 靴 | ストレートチップ。プレーントゥでも可 |
| ポケットチーフ | リネンやシルクの白無地 |
| カフリンクス | カフスシャツならゴールドやシルバー台に真珠や白蝶貝など白系の石 |
| ベルト | 本革プレーンタイプのシンプルなピンバックル |
| 靴下 | 黒地のミドル丈かロング丈の透けないもの |
レストランでのカジュアルウェディング、身内だけの小規模な結婚式などで両家が望むものであれば、父親が略礼装のブラックスーツを着ることができます。
礼服の中でもっとも使用頻度が高いブラックスーツ
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参考資料（値段は変更する場合があります）
＜ブラックスーツ 購入＞
ブラックスーツ（上下） 43,890円
4点セット 6,600円
レギュラーカラーシャツ、ネクタイ、ポケットチーフ、タイピン
オッドベスト 7,920円
ストレートチップ 23,200円
ワイシャツをカフスシャツにするとよりフォーマルになりますが、ここではお手頃のセット商品を紹介します。グレーのオッズベストにすることで特別感を出すのはどうでしょう。靴下（約1,000円）を別途用意してください。
一通り揃えて約7万円です。
＜ブラックスーツ レンタル＞
8点セット 6,200円
ブラックスーツ（上下）、シャツ、ネクタイ、ベルト、アームバンド、靴（ストレートチップ）、靴下
安心サポート（保険）500円
3泊4日のレンタル。保険をつけてもフルセット6,300円です。
ブラックスーツだけだとゲストと同じになるので、ベストとポケットチーフ追加を追加で購入して特別感を演出してはいかがでしょうか？
オッドベスト 8,800円
リネンポケットチーフ 1,650円
礼服を喪服として兼用する人が多いと思います。ある程度年齢がいくと婚礼、葬儀と着る機会が増えます。
使用頻度が高いブラックスーツは基本購入がおススメ。
豆知識
海外ではブラックスーツ＝喪服という考えから結婚式で着用しません。そのため服飾のプロの方は結婚式にブラックスーツを着ることに否定的でダークグレーやダークネイビーをおススメしています。しかし日本では年配の方を中心に結婚式＝ブラックスーツ+白ネクタイ信仰が定着してるので、周りの目が気になる場合はブラックスーツは全然OKです。結婚式にブラックスーツは日本独自の礼服マナーなんですね。
礼服は購入 or レンタル？
滅多に着ることがない礼服なら「レンタル」を選択肢に入れるのは当然です。格式の高い礼服になればなるほど着用の機会は減っていき、着るのは結婚式の一回きりということも多いのではないでしょうか？
それではレンタルすることの「メリット」「デメリット」についてお話ししていきます。
礼服レンタルのメリット
- 購入するより安く済む
購入の1/5〜1/10程度の金額でレンタルすることができます。質の良くない安いものを買うくらいならレンタルの方がよいでしょう。 - クリーニングに出す必要がない
購入すればクリーニングに出しますが、レンタルの場合は使用後返却するだけです。さらに1000円程度の保険にはいれば破損や汚れに対する保証がつけられます。 - 保管スペース不要
クローゼットの場所をとらない。いざ着ようとしたらカビや虫食い・・・という心配がありません。 - 体型の変化にも対応
各サイズ揃っていることが多いので体型が変わっても、その時に見合ったサイズを選べばOK。 - 季節に応じたものがある
購入する場合、薄手厚手と何種類も用意することは大変ですが、レンタルなら使用時の季節のあったもを選ぶことができます。
礼服レンタルのデメリット
- 借りるたびにお金がかかる
使用回数が多くなるほど割高感が発生していきます。 - 急いでいる時の対応に不安
ネットレンタルであれば商品の到着を待つことになります。また希望の商品が空いていない場合も考えられます。 - 返却する手間
式が終わったら早めに返却する必要があります。
礼服は購入 or レンタル？「まとめ」
| モーニングコート | 着用の機会が少ないので基本はレンタル。 |
| 燕尾服 | 着用の機会が少ないので基本はレンタル。 |
| タキシード | 基本はレンタル、パーティーへ出席する機会が多い人は購入もあり。 |
| ディレクターズスーツ | コールパンツとベストなど不足分を購入。 |
| ブラックスーツ | 慶弔兼用を考え、かつ一定の年齢を超えたら購入がおススメ。 |
「店舗」or「ネット」?
購入するにせよ、レンタルするにせよ「店舗」「ネット」の二択が考えられます。
お住いの場所、ご予算、試着の有無を考慮して、ご自身の都合に合わせて選んでください。
「店舗」
店舗で購入、式場や専門店でのレンタルは試着できるのが最大のメリットです。体にフィットしたものが選べますし生地感も確認できます。店舗まで行く必要があり、ネットに比べると高めになります。
「ネット」
ネットでの購入、レンタルは人件費がかからない分お安くなっています。完璧にフィットしたものを望むのは難しいですが、各サイズ揃っているのでしっかり採寸すれば大きく外すことはないでしょう。近くに店舗がない場合や、店員さんとのやり取りを煩わしく思う人にもよいかもしれません。
いかがでしたでしょうか？
礼服とひとくちに言っても「正礼装」「準礼装」「略礼装」とあり、両家で格を合わせなければいけません。さらに「購入」か「レンタル」かという選択肢もあります。
新郎新婦の父親は結婚式において準主役級の立場なので下手な格好はできません。
どうぞ晴れの舞台に相応しい礼服をお選びください。
少しでもそのお役に立てらた幸いです！